アラスカガイド・フェアバンクス編2

2008 / 3 / 26

連日のオーロラにアラスカの滞在を実感しながら、今日はフェアバンクス郊外の「アラスカ鳥類研究所」とその森の散策に出る。
何度行ってもわかりづらい場所だが、なんとかたどりつく。
車を停めるとすぐにベニヒワやハシブトガラ、アカリスの歓迎。
研究所に入ると、鳥好きにはたまらないグッズや研究データが、ところ狭しと並んでいる。定期的にワークショップや講演会もやっている。

その研究所の案内ボードに”Great Horned Owl”という耳の大きなフクロウのイラストがあり、研究所の裏の散策森にいるらしい。
しかも我々の車を駐車スペースに停めた直後、フクロウらしき声を聞いたのである。この冬、北海道でフクロウの仕事で苦労したが、アラスカのフクロウはどんなだろう?めきめきと未知のフクロウに興味がふくらんだ。

実際、地元でもそう簡単に見られる鳥ではないので、研究所の職員に細かくどんな種類の木に止まるのか、高さはどれくらいかなど質問して、
「運がよければ見られるかも?」
と言われながらお客さんらと森に入る。

そこは白樺とホワイトスプルースの大木が茂る美しい森。
ムースらしき大きな冬の糞があったり、アカリスたちがそこらじゅうを走っている。森に入ってまもなくホォーッホゥと森にフクロウの声が響いた!およその見当をつけて皆で声をださないよう確認して歩く。
あきらめかけてきた、それから3,40分後、ワタリガラスがやってきて、私の心に、
「この森にはフクロウがいるぞ!見つけてごらん」
というメッセージのようにとれる鳴き方をする。

もう鳴かないかと思ったフクロウが、なんとすぐそばの大木の上から鳴いた!
今度はフクロウが、
「私はここにいるから見つけてごらん」
と。ここで見つけなければなんのためのガイド、と全神経を集中させてスワロの双眼鏡をスプルースのトップから枝の1本1本までチェック。
あぁ!いた!


地上から相当高いところに、まるで木肌のようなカムフラージュをして、素晴らしいふくろうが。なんとそのフクロウは耳が大きい!外国の映画でしか見たことのないようなすごい顔。
プロミナースコープに入れて、お客さんを1人ずつ呼び寄せて見てもらう。皆満面の笑顔でスコープから顔を離す。
アラスカの森でフクロウ!なんて素晴らしいのだろう!嬉しくて胸が熱くなった。そしていくら見ても見飽きない大きな耳のフクロウ。それはまさに”Great Horned Owl”で北海道のトラフズクに若干似ている。

大興奮(私だけかも)で森をでて、研究所の職員にフクロウの映像を見せると、
「どの木にいた?なぜわかった?」
とやはり大興奮で質問される。どこでも一緒だなと笑いながら、アラスカのフクロウに心から感謝。

大幅に時間をとってしまった森に別れを告げて、いよいよオーロラのメッカ、「チェナホットスプリングス」へと車を走らせた。
チェナは行き止まりのこじんまりしたリゾート。
しかしその道中も含めて素敵な山の中なのである。ホテルも美しく、なんといっても光に邪魔されず絶好のコンディションで天から降り注ぐオーロラが見られるスポットなのである。
フェアバンクスから車で1時間半ほど、途中に信号はなく80から100キロで快適にドライヴできる。

到着してチェックインを無事すませ、一同、ホテルのレストランでディナー。ここもまた美味しい!私はチェナバーガーがお気に入りで、こんな美味しいハンバーガーはないと思うくらい美味しい!モスバーガーもびっくりだ。ボリュームももちろんだが、つけあわせのポテトやピクルス、とにかくハンバーグ自体が美味しい。皆それぞれ満足して、夜のオーロラを待つ。

夜9時くらいから車を寄せて待機。11時くらいまで皆でねばるが気配がない。焦りはじめたのと明日アンカレジまで800キロ(!)の車での移動を考え、、11時から1時と、1時から3時まで、2名ずつ仮眠を取り、もしその間にオーロラが出たら起こすという段取りで動いた。

途中オーロラが出た!で起されたが、残念ながら出ていなくて、再びベッドに戻ったが、全員で最後の1時間を見守ろうという午前3時半に、ついに兆候が出始めた!それからオーロラは見る見る活発に動いて、まるで龍のように空を走る!皆大興奮でオーロラを観たり写真を撮る!しかもリゾートで見ているのは我々だけ!他の人は皆寝ている。結局朝4時半にオーロラが収まるまで堪能。大満足で私の部屋でアラスカの地ビールで乾杯して眠りについた。朝5時の話である。

翌朝チェックアウトにフロントに行くと受付嬢が、
「昨夜は残念だったわね!でもあなた達はラッキーよ、だって3日間もここに泊まって見られない人もたくさんいるから。あなた達は1日だからね」と。
すかさず
「昨日は素晴らしいオーロラを観たよ!」
と言うと、
「え!それ何時?」
と言われ、
「朝方4時頃だよ」
と写した写真も見せると、受付嬢が
「オーマイガッシュ!!!」
周りの外人たちも私の周りに集まってきて、どういうこと?と。満面の笑顔で私が説明したのはいうまでもない。隣のおばさんが
「やっぱり日本人のガイドがいいわ」
と言うのを聞いて本当に嬉しく、今回のオーロラのプレッシャーと呪縛から解放された朝だった。

さて次は、アンカレジまでの信号なしのチェナから約800キロのアラスカドライブ。


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