2008年 酪農学園アウトドア実習

2009 / 3 / 16

純粋で無垢な若い感性と純粋で無垢な自然のなかでともにすごす。これだけでも最高の時間のプレゼントをもらったようなものだ。

今回のガイド研修は技術や心構えうんぬんの前にどれだけ人に感動を伝えることができるかどうか。つまり自分がどれだけ感動できるかということをひとつテーマとして考えてみた。


その方向で夜間に国立公園の奥に入りまったくの無人地帯で静寂な支配する森で星明りでカヌーをするという大胆なプログラムを設定。今回のガイド実習の目玉のひとつでもあった。学生たちはまさかこんな夜に森でカヌーという驚きはあったものの1人2人ではなく団体ということもあり楽しげに夜の森へとむかった。最初は静寂の支配する森にいる自覚も皆ほとんどなく大きな声や音をたてて話したりしていたがカヌーが始まり分散してガイドが始まって静かな森に戻りはじめた。
グループに分かれて森を歩く組とカヌーで湖を横断する組で深夜の森と湖に学生たちは入っていった。

カヌーで夜の湖は一般的にも普通はない。まさに究極の非日常なのであるのだ。実際真っ暗な湖にカヌーで漕ぎ出すことはこのうえなく心地よい時間である。湖に映りこむ青い月やときどき湖面を跳ねる魚の音。黒と青の空を流れる雲。湖面を優しく返すパドルの音が静寂をさらに高めている。いったいこれは現実なのか?

途中学生たち一堂に会し真っ暗闇の森のなかで車座に座り皆でお湯をわかしコーヒーブレイク。それぞれに感想を話してもらった。しかしその時間すら静寂は一層深まっていく。学生たちの中にははもうすっかり夜の森に好意を持てる者すらも現れていた。

感動できるということが何よりも素敵で無限のエネルギーを持っているか。皆に気づいてもらいたいと思った。夜の森で個人個人様々な感性があり感動があるということ。それを分かちあい共有する素晴らしさ。

実習最終日には最高のチームワークを発揮してバーベキューと焚き火での自分探しをじっくりと皆で体験できた。焚き火を囲んで話しあえる贅沢は若いときにこそ体験してもらいたかった。

誰が劣っているわけでなく誰が優れているでもなくそれぞれ奇跡的な出会いと意味を持って実習に参加した学生たち。学ぶことも大切だがまず感動すること。そこから自然という素晴らしい扉が開かれていくと思う。自然は森でもなく湖でもなく君たち自身そのものでもあると思う。私はその自然である素晴らしい学生たちの感性や心づかい、悩む姿を見て本当に嬉しく感動させてもらった。ガイド実習は感動と出会いの場でこれからもありたい。

実習生諸君、素晴らしい時間と出会いを心からありがとう。


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