日常の奇跡

2009 / 3 / 17

アサギマダラのキス

【釧路新聞2008/11月掲載】
私は今、「2008年安藤誠の世界」という全国を飛びまわる講演や演奏の旅で20日ほどで約2600キロを車でまわったところである。


そんな旅の中で前からどうしても手に入れたかった曲を旅先で手に入れることができた。カナダのサラ・マクラクランの歌う「オーディナリーミラクル」という曲で映画「シャーロットの贈り物」のエンディングで使われていた曲。私はこの曲と出会い自然ガイドとしてとても大切なものに改めて気づかされたことに感謝している。

何もかも美しいのはちっとも不思議なことじゃない。
今日もまたそうやって奇跡は訪れる。
雪が降るときを空は知っている。
種は育ち方を覚えている。
今日もまたそうやって奇跡は訪れる。
人生は毎日あなたに届く贈り物のようだと人は言う。
包みをあけてみつけようあなただけの贈り物を。
素晴らしいことでしょう?
雨が1粒1粒落ちるように。
今日もまた奇跡は訪れる。
(続く)
オーディナリーミラクル 対訳:蒲池高子


東京のど真ん中を国道1号で走っているとき信号待ちで見る大都会の風景。横断歩道を手をつなぎ渡る女の子と母親、タクシーに乗りこむサラリーマン、大都会なのに路肩でコオロギの優しい声がする。ビルの狭間から美しい満月が顔を出す。この美しい曲を聴きながら大都会の自然もいいなと思った。

夜通し国道1号を走り仮眠して箱根の山で朝を迎えたときも鳥たちの声や木々の緑に圧倒された。北海道、とりわけ私の住む道東の自然や湿原、鶴居村の自然の素晴らしさを心の底からかみしめながら感謝。

今、原稿を書きながら外を見ると窓の外にはらはらと舞い落ちるミズナラの葉、風に舞う枯葉たち。アカゲラが夢中でカラマツの切り株にアリを探して食べている。

オーディナリーミラクル/日常の奇跡を感じて感謝できること。
それを人々に伝えていけたら素晴らしい。朝起きて仕事に行ってご飯を食べて家族がいたり友人がいることも決して当たり前ではなく奇跡なのかもしれないと感じること。もしかすると大切な気づきかもしれない。

旅の途中茨城の美しい農村で南からの使者アサギマダラという蝶に出会い人生で初めて君に出会ったよと話かけていたらひらひら舞いながら私の口にとまってキスをしてくれた。
オーディナリーミラクル/日常の奇跡。


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