初九州仕事

2009 / 5 / 30

【mixi 2007/10/24】
今日は過去の日記から。2007年秋安藤誠の世界」という、全国を飛びまわる講演や演奏の旅で、仕事では初めて訪れた九州での出来事を書きました。井関謙一さんのリクエストにより、mixiから転載します。
井関さんは同じ2007年秋に奈良の曽爾村で出会った青年で、丁寧につみかさねてきたセンスや真面目な生き方が、お洒落というキーワードと一緒に光る男。バードウォッチングの新しいスタイルや夢を提示した素敵なウェブサイト”Birding Style”も運営しています。一緒にいると気持ちの良い男が造る、心地よい世界を覗いてみてください。

北九州にて

福岡ではアクロス福岡という素晴らしい情報ビルでの一般講演と、九州産業大学での特別講義。どちらも私の尊敬する恩師の1人伊藤重行氏の計らいで実現。
伊藤氏は、湿原の哲人長谷川氏の伝記や鶴居村の紹介に力をそそいでいる関係で知り合うことができた大学の博士。今回は伊藤氏ご提案の素晴らしい充実の異業種交流会食や早朝福岡中心部歴史探訪サイクリングなども堪能させていただいた。

それは自転車で福岡の核心にふれていくいわばエコツアー。2人の怪しげな男が自転車であれこれ歴史や経済、政治、文化など語りながらこいでまわるのである。そしてお寺や寺院で手を合わせる。私はこれほど丁寧な解説つきのツアーに参加したことがない。等身大の福岡、普段の福岡を存分に味わい感動することができた。
夜の中洲も1人で歩いたし、なんと伊藤氏の提案で私は1人都市バスで博多などに移動していた。なにもかも丁寧で「体験」というテーマがしっかりあるアドバイスだった。

話が前後するが、アクロスでの講演では中会議室がうまるほどの福岡の市民が聞きにきてくれた。そのなかで80歳をとうに過ぎた老人が、素晴らしい全国 を写した写真集をプレゼントしにきてくれたり、環境教育に力を入れている高校の先生が私の講演後すぐに自分の学校の生徒らへの講演を依頼してくれたり。

九州産業大学はその規模に驚いたが、さらに講義の会場も大きな講堂でびっくり。しかも学生がびっちりいる。ここではさすがに私の話に特別興味がない学生も多数いて、前半の15分は正直苦戦。のどもとまで、いつまでも数人でべらべら話している学生らに退出願うことを言うか迷い、加えて携帯のメールを打ち続ける女 の子たち。かなり試練かと思った。しかしここはいじけたりあきらめたりできない、ここまでそれなりに根性と気合を入れてきたのである。自分に集中して雑念をはらい、自分の感動や伝えたいことを丁寧にしっかり話した。
奇跡がおこった。
気づくと誰も話していない!!!携帯が閉じられている!!!でかい講堂がしーんとひとつの空間になっている。嬉しかった!!!まさに私が感動した!!!なんて素晴らしい時間を経験できたのだろう。最後に講堂を退出する学生らに1人ずつ感謝の気持ちで声をかけた。

北海道から九州へ。熱い気持ちや感動はこんな形で伝わった。
大学をあとにするとき、伊藤氏と挨拶しなが2人とも涙があふれて最後は声にならなくなって、私は声にならないままありがとうございましたを言うのがやっとだった。久しぶりの涙をふきながら九州をあとにした。


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