Into the Marshland

2010 / 5 / 26

5月の連休から今日まで、昨年同様まったく湿原の水位が下がらない。
昨年の長雨や冷夏を思いだすが、心おどる探検ができるのも長雨の結果。

5月はリピーターのお客さんたちと地形図をもってカヌーで釧路湿原探検。
カヌーで「川下り」は一般の話で、我々はなぜか「川をさかのぼる」のである。
これは増水しているときに、釧路湿原全体が細かいクリークのような水路があちこちにできて、可能になる。
当然、地形図がないと広大な湿原で自分がどこにいるか、どこに行こうとしているか、もわからなくなってしまう。
ところがこの探検カヌーが面白いのだ。
川をひたすらさかのぼることは、ガイドで漕ぎ手の私としては、あまり面白いとは思わないのだが、増水時しかアプローチできない水路での湿原の奥深くには、我々の想像を超える素晴らしい景色が待っているのだ。

昨年も感じた土地の気が変わるところ。
今年は注意していたらお客さんたちにも反応があった。
突然皆が陽気になってきたり、満面の笑みになる場所が あるのだ。
あきらかに特別な気の流れ。これは単なる思いこみと言ってしまえばそれまでだが。
私はいわゆるスピリチュアル系でもなんでもなく、どちらかといえば熊系だ。
しかし1本の不思議な存在感をはなつハンノキを見るところから、無性に嬉しくなってくる場所がある。
そこからおびただしい魚がはねはじめ、美しいヨシ原がひろがる。

そのハンノキは理屈ぬきにひかれる。
湿原には数えきれないハンノキがあるのだが、このハンノキは特別の特別。
その先からも素晴らしい湿原の奥へと川はつづく。
いつもは展望地として立つ特別保護区のキラコタン岬が地平線の先に見える。
まったく人間の入った痕跡のないところ。
釧路湿原の核心であり、聖域だ。

前回に行けなかった先のルートを、この長雨を利用してさらに偵察してくる予定。
また無数に流れる釧路湿原の中の川のいくつかを、カヌーで下ったり上っ たり。
悠久の大地や、5000年前に海だった釧路湿原の時間の流れや軸に、思いをはせられるはずだ。
釧路湿原の核心が少しずつ見えてきた。


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