Bold Eagle

2011 / 5 / 12

アラスカの鳥ではずせないのがハクトウワシ。
かつて全米にみられた国鳥だが、近年はアラスカでみられる鳥の代表のように扱われている。
理屈ぬきでこのハクトウワシに惹かれている人も多々いるが、もともとアラスカ先住民ではワタリガラスと並んでクラン(一族の家紋のような)の代表。
力や神聖な象徴のほかに勇敢さのイメージにもなっているが、実際にじっくり観察すると彼らの魅力は増すばかり。
私はどちらかといえば知らず知らずに彼らハクトウワシの魅力にはまっていったタイプだ。

美しさや剛健さ、繊細、果敢、イメージをあげるとキリがないのだが、もう1つ大切なポイントがある。
それはハクトウワシがアラスカそのもののイメージと重なることだ。
だからアラスカにはハクトウワシがいる。
ハクトウワシのいるアラスカなのだ。
わかりづらい表現をしているかもしれないが、素晴らしいアラスカの景観をながめるとき、
(今ここにハクトウワシが舞っていれば。)
そう思い、空を見上げるときがある。
そしてこれ以上望めないような状況で、ハクトウワシが実際に雄大な景観を優雅に舞うこともある。
3月中旬から4月にかけてはあちこちで巣作りや抱卵が始まる。
怖い精悍な顔でも愛情にあふれ、夫婦で協力しながらの子育てをする。
人それぞれハクトウワシに抱くイメージは違うと思うが、迷っている心や怖気づいたときには彼らを思い浮かべてみてほしい。
いきなりあの精悍な顔になるわけではない。
幼鳥の頃から亜成鳥と、なんだか頼りないぼろぼろのイメージだ。
しかし成長していくと、どんどん美しく精悍になっていく。
歳をとって老鳥になっても深みが増し、魅力的だ。

1度キナイリバーで遠くのハクトウワシをスコープで観察しながら、
「なんて美しいワシなんだろう」
とお客さんと話していたら、そのワシが突然私たちの方へ飛びながらみるみる近づいてきた。
気づけば目の前の木にとまるではないか。
そして頭の毛を逆立てながら、私たちに
「だからどうした?」
といわんかの如くにらんできた。
あまりの突然と、ハクトウワシの大胆さにあっけにとられてしまった。
人を恐れないのか、たいしたものとみていないのか。
驚きと同時に自然の力を翼と眼力にたくえた精霊のようなものを感じた。

いつのまにか私も、アラスカいやハクトウワシの魅力に、深く惹かれてしまっているのだった。


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