北海道にヒグマの存在する意味

2012 / 7 / 29


若いキムンカムイとの出会いから1週間が経つ。
知床では先週だけで4回6頭の親子のヒグマに出会った。
そのなかで嬉しい出来事があった。
夕方に兄弟の若グマをお客さんらと撮影、観察中にウトロの自然保護官の野川君と出会い、現場でヒグマについての意見交換をすることができた。
環境省や知床財団には恨みこそないが、いつも個人の意見も言わず体制やシステムのせいにしながら問題の核心に話が進まないことにストレスが多々あった。
しかし若い彼はしっかりと知床の現状把握したうえでの自分の意見を言ってきた。
立ち話だったが私も理想論ではなく具体的なビジョンをもって若グマたちの未来や行く末など意見を言わせてもらった。
嬉しいことに、早々に野川君を含めたクマ対策会議があり、メールで対策や方向性を含めた報告を彼はしてくれたのである。
それは、箱わなで捕獲してまず観光客の来ないルシャ川エリアに放獣すること。
マーキングして動きを観察報告できるようにすることなど。
おおむね私が提示した意見と一致していた。
 

これからどのようにヒグマたちと共に同じ北海道に暮らしていくか、というテーマや、彼らに人として何をしていかなければならないか、それを具体化していく決意を深くしていた矢先、今回の野川君との出会いは意味があった。
彼のような想いのある自然保護官と出会えたことに心から感謝したい。
彼にはかつてから考えていた熊守、ベアレジャーの制度を立ち上げていくことも話した。
普通の行政や団体の人間に話すと、いいですねぇ、でもかくかくしかじか難しいですねぇで終わるのだが、彼は目が輝いていた。
私のまわりにもクマたちを守りたい人が増えてきた。

クマはクマの世界、人は人の世界でしっかり生きられるようなところ。
北海道はそんな素晴らしい土地なのだ。
人とクマの存在はお互い相容れないが同じ大地で暮らすことに意味があるのだ。
それは何よりも素晴らしく尊いことだと信じている。
今もクマたちが北海道の海や川、山で歩いていることを思い浮かべただけで嬉しくなる。
若いキムンカムイの澄んだ瞳を胸に、自分たちのやれることに向かってしっかり歩きたい。

写真見ているだけで幸せですが、本当になんて素敵な存在なんだろう。


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