“Go with Muddy Feet”バースディトレック

2009 / 6 / 8

帯広ラフラさんから3日ぶりに鶴居に戻り、翌日6月1日から2日にかけてアシスタントの上村のバースディを2人で祝いに特別保護区にテント一式 かついで出発。特別保護区入り口に夕方5時に到着し急いでキラコタン岬突端までをめざす。日没の湿原の森を歩き、湧き水の素晴らしい沼で水を補給。ここで日没、時間は7時をまわったところ。特別保護区内で当然人間は誰もいない。静かに暮れていく湿原の夕日。
装備一式30キロはこえた荷物(撮影機材やテント、ストーヴなど)を背負って岬のピークに着いたのが7時半。すでに暗くなりヘッドライトをつけてテント設営から食事。夕食のガソリンストーヴの火を消したとたんとてつもない静寂がやってきた。湿原にのみこまれるような。普段から仕事がら静寂は知っているつもりが、あまりに圧倒的にあらわれた世界に息をのむ。
テントの前には崖の下にチルワツナイ川の蛇行とハンノキ林が広がっている。背後はミズナラの森。鹿やヒグマたちの世界。上村とバーボンでバースディを祝いながら、時間軸を越えて今ここの静寂に身をゆだねる幸せを語りながら、それぞれ自分のテントに入る。ノゴマが一晩中素敵な歌を聞かせてくれていたが、途中からコヨシキリも参加。カッコウまで。6月の湿原はこんなにも生命力にあふれている。
1時間くらいたっただろうか、突然チルワツナイ川の方からタンチョウの声が真夜中に響く。
あわてて起きて暗闇にてらされるチルワツナイの蛇行をスワロフスキーで探す。残念ながら見つけられなかったが、あまりの幻想的な風景に上村に声をかけてみた。彼は夢のなかで湿原を歩いていたようだ。ショートタイプの葉巻に火をつけ暗闇に優しく輝く蛇行を見つめる。ときどき鹿がすぐ近くを歩く音やカモの騒ぐ声。
朝方3時半に雨の音で眼がさめる。上村に雨が上がるまでそれぞれ好きにしようと伝え眠る。今度は上村が1人小雨のなか鹿にまじり餌をとるタンチョウを写真に撮っていた。朝方の雨がすっかり上がり、2人で500メートルくらい離れた湧き水を汲みにいく。なにもかもが静かでにぎやかで素敵な朝。1185344536_138
朝食をすませ私は帯広ラフラで手に入れた食養人生読本をテントの入り口全開にして読む。上村が静かなので横をみると気持ちよさそうに寝ている。まさに中ぐらいのクマが寝ている。今回はこんな形でクマに出会った。さらに彼の足が最高だった。Muddy Feet

私の大好きな詩人ナナオサカキの詩。

When you hear dirty story
Wash your ears
When you see ugry stuff
Wash your eyes
When you get bad thought
Wash your mind
And keep your feet muddy
Go with muddy feet
Go with muddy feet

いやなこと聞いたら耳洗え
汚いもの見たら眼を洗え
いやしい思い湧いたら心洗え
だがいつも泥足そのまま
泥足のままで生きていけ
泥足のままで歩いていけ

上村の誕生日にこの詩をプレゼントしたい。
おかげさまで私も素晴らしい時間を一緒できて感謝。


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